キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
七笑と自分が似ているところを探していると隣から視線を感じた。
もう一度見上げると亜沙美がまるで子供を見守る母親のような優しい笑みを浮かべて私を見ていた。
「…な、なに……っ?」
「あ、ううん。美瑚が前よりかなり丸くなったなって思ってさ」
私が丸くなった?
自分ではいつもと変わらない気がするけど…
「4月に知り合ったときは何となく近寄りがたい雰囲気あったからさ。
七笑にきっと何か言われたんでしょ?
あたしと乃々葉も七笑に声かけられて集まったようなものだからさ」
自分じゃよく分からないけど周りのことをよく見ている亜沙美が言うんだからきっとそうなのかもしれない。
でも確かに旭には「最近、よく笑うようになったよね」って言われるようになったかもしれない。
なんだか自分以外の人にそうやって自分の変化を気付いてもらう機会がなかったせいかすごく恥ずかしい。
亜沙美から視線を外し近づいてきた自動販売機を見ると、自動販売機の前で財布や制服のポケットを漁る長身の男子生徒がいた。