キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
ずっと逃げているのなら、私が壁になって逃げ道を塞がないと。
「…そんなに広瀬くんが好きなら、鈴ちゃんを捨てて広瀬くんと一緒になればいいじゃない」
「……え、……なんで…」
「だってずっと互いに好きなのにそれ以上の関係になれないなんて辛いでしょ?
安心して。鈴ちゃんは私が代わりに育てるから。
だから亜沙美は早く広瀬くんに好きですって伝えて大好きな広瀬くんの隣にいればいいわ」
そうすれば亜沙美はずっと好きだった広瀬くんと幸せになることができる。違う?
「み、みーこそれは言い過ぎじゃ……っ」
「そんなの出来るわけないでしょ……っ!?」
私を止めようとした七笑を遮って亜沙美は声を荒げた。
握りしめた拳は小刻みに震えている。
「鈴を捨てるなんてできるわけないよ…っ!
あたしは鈴も巧もどっちも大切で大好きなんだよ!」
さっきよりも大きい声。
ふざけないでと言うかのように私を見つめる鋭い目。
涙目で私を睨みつける亜沙美の表情を見て、意志は本物だと確信する。