キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。

手を繋いで




【side 亜沙美】



「まー!みててー!」


「見てるから気をつけて滑るんだよー!」


「はーい!」



ベンチに座って鈴が滑り台を何度も滑る姿を見つめる。



保育園で滑ってからハマってしまったみたい。
とはいえ他の子供が滑る滑り台より小さいものを滑らせる。



それでも鈴は満足そうに何度も滑っている。



鈴を見つめながら数日前に美瑚と話したことを思い出す。



鈴を捨てて巧を選べばいい、そう言われた時はいくら美瑚とはいえ腹が立った。



命をかけて産んで育てた愛娘を簡単に手放すなんてできない、なんてことを言うんだと。



こんな経験したことないくせにあたしの気持ちなんか分かるわけないと思った。



でも美瑚は実際母親に捨てられたと言ってた。



あたしは鈴の父親には逃げられたけど、お母さんはあたしを支えてくれた。



でも美瑚は自分を支えてくれる人は一人もいなかった。



七笑が美瑚は親友にも裏切られたことがあると聞いた。



美瑚は誰よりも孤独の怖さを知っているんだ。


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