キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
すると巧はあたしの方を向いて指で目尻を吊り上げた。
「こう目がつり上がって目付きが悪いところとかな!
でも鈴ちゃんは亜沙美ほどつり上がってなくてまだ丸い目で可愛いよな!」
「ちょ、ちょっと!?それあたしに失礼じゃないか…!?」
腹が立ってベンチから勢いよく立ち上がって巧を見下ろす。
あたしが怒ってるのにも関わらずに肩を震わせて大爆笑してる。
ほんっとにこいつは…っ!
巧の笑いが止まった瞬間に頭に拳骨をお見舞いしてやろうと拳をつくると、今度は優しく微笑んで見つめられた。
「…鼻が小さくて目が丸いところは似てるよな………先生に」
「……っ!」
あぁ。あたしはこいつには隠し事はできないんだ。
でもこの方が自分から言わなくて楽なのかもしれない。
あんなに言うことに躊躇っていたのに気付かれた途端に鍵のかかっていた想いが開けられて、声となって伝わっていく。