この空の下、君と一緒に。
「……あのさ、海はどんな気持ちで私に話しかけたの?」

唐突な質問に、彼は驚く。

「急に何?」

と、言いたげな視線を送ってくる。

言葉では言ってなくとも、長い間ずっと一緒にいたからわかった。


そんなあたしの気持ちも、海はわかってくれてるだろうか。


「あたしは……海と別れた2年間、ずっと考えてたよ……海のこと。」

「……っ、俺、は……」

「わかってる。好きな子、いるんだよね。その子とは上手くいった?」

言いたくないことまで、口から出てしまう。


「あたしは、海があたしなんかより別の子を取ったこと……何も感じてないし。むしろ良かったと思ってる。」


ホントは、全然良くなかった。

苦しいし、涙が溢れて止まらないほど辛かった。

でも、海は優しくてカッコいいからあたしよりも似合う女の子がいいんだ。

その子が側にいた方が、幸せなんだ。

そう思ってたのは、本当だけど。


それよりも海が大好きだったことが強くて、何よりも大事だったからその分傷付いた。


「……こんなあたしと、一緒にいてくれて……ありがとう。あの時に、言えなかったからさ……伝えておきたくて……。」


無理矢理笑顔を作って、そう言った。

「じゃあ、あたしはもう行くね。元気でね……」


泣きそうなのを必死にこらえて、あたしはすぐ彼に背中を向けた。


ごめん、ごめんね。

ホントはまだ全然、海のことが好きなまま。

あたしをこんなに泣き虫にするのは、貴方だけ。

あたしをこんなに苦しめるのは、貴方だけなの。


「ぅ……ぅうっ……!う、みぃ……ッ!」


きっとそれは、あたしだけだってことくらいわかっているのに。


涙はいつまでも止まってくれなかった。




「千夏ーーー……ッ!!!」


そう思ってたのに、君の必死なその声で簡単に止まった。


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