この空の下、君と一緒に。
《皆さん、お早う御座います。本校は学業専念がモットーです。今日も1日沢山学んでくださいね。それではホームルームを終わります。》

この学校のホームルームは全体的に、アナウンス1つで終わる。

そしてすぐに授業が始まるシステムになっているの。


「はい。じゃあ授業を始めます。教科書の36ページを開いて______」

つまらない。

毎日が退屈だわ。

勉強は正直ついていけるし、教え方もそこまで上手くないし。


とにかく私にとって、今の生活が退屈でならなかった。


そんな時、教室の扉が勢いよく開いた。

そして現れたのが、茶色のボサボサ短髪で一見男子に見える人……榊 アリスだった。

名前と人のギャップが凄いわね……。


息を切らしつつ、ヘラっとした笑顔で彼女は先生に謝った。

「すみません、先生……。実は道の途中でおじいさんに道を聞かれちゃって……あははっ。」

「榊さん。つくならもっとまともな嘘をつきなさい。早く席について。授業を続けます。」

「はーい。」

軽い返事をして、彼女は何事もなかったかのように席についた。


正直私は彼女のような人が嫌い。

どうしてこの学校に入れたのかも不思議だし、よりによって私の隣の席だし。


最悪で仕方がないわ。


「……えへへ。怒られちった。」

え、何、独り言?他所でやってよ!

「あ、教科書忘れた……神崎さん、見せてくれない?」

はぁ!?何であたしなのよ!!!

そう思って周りを確認したけど、皆知らないふり。

それもそうね。
こんな人と関わって、自分の品を下げられたくないものね。

私も同じなのよッ!!!!

「神崎さん……?やっぱり嫌、だよね。ははっ」

何なのよ……自暴自棄?

全くもう……ホントに私ってついてないわ。

「……いいわよ。はい。」

良心のあまり、ついに貸してしまった。

仕方がないじゃない……無視は傷付くこと知ってるもの。

けれど彼女は驚いた顔で固まったまま。

しかもじっとこっちを見つめてるしっ……!

「なっ……何?」

恐る恐る尋ねると、彼女は次第に笑顔になった。

「……いや、嬉しくてつい……ほらあたし……周りから嫌われてるじゃん?だからまさか……貸してくれるなんて……。ありがと、神崎さん。」

「っ……!別に……」


人懐っこい笑顔に、不覚にもときめいた。
< 4 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop