この空の下、君と一緒に。
終わりから始まるもの
……
…………
………………
あっけなかった。
初恋なんて、実るはずもなく。
簡単に崩れ落ちて、消えていった。
「ごめん。俺他に好きな子できた。」
ある日不良に絡まれた私を、漫画の世界のように助けてくれた彼……飯島 海(いいじま うみ)と、漫画の世界のように私は恋に落ちて付き合うことができた。
あれから3年、私達は高校生から社会人になった。
いつまでも続くては到底思えなかったけれど、もうすぐ結婚かってときに別れ話を切り出されるはめに。
「中江 千夏(なかえ ちな)……。良い名前だね。俺、好きだよ?千夏のこと。」
今でも聞こえてくる。
突然の彼の告白。
嬉しかったのに……。
「俺には千夏がいればいい。」
そう言ってくれたのにどうして……?
私も海がいるだけで幸せだったのに、ずっと愛していても他の子が入る隙なんてあったの……?
信じられないよ……。嘘だって、言って?
そう言いたくても、声にならなかった。
それ以前に、私は馬鹿なことをした。
「……そっか!海に他の好きな子ができて良かったよ~!今までありがとう。ばいばい!」
無理したのか、笑顔でさよならをしてしまった。
何が"他の好きな子ができて良かった~!"なのよ。
全然……っ良くないよ!!!
「……じゃあね。千夏ならきっと、すぐに良い人見つかるよ。」
最後の、言葉。
なんて儚いんだろう……。
きっと、なんて言葉……いらないよ。
海以外なんて、いらないよっ……!!!!!
「……ぅっ…みぃ……ッ!」
初恋なんて、簡単に終わっちゃうんだね。
さよならなんて言えずに、私は涙でいっぱいの目で遠い彼の背中を見送った。