泥酔ドクター拾いました。
「だ、大丈夫です!!とりあえず、すぐに帰って、休めば…」

「こんな状態で、家に帰すなんて出来るわけないだろ?!」

私の大丈夫という言葉を遮って、見たこともないほどの真っすぐな視線で言われてしまって、私は次の言葉が口から出てこない。

異様にうるさく聞こえてくる自分の鼓動の音は、熱のせいだけではないのは明らかみたいだ。


「俺も一応、医者だから。目の前に病人がいたら、ほおっておけないんだ」

私の様子を呆れたようにも困ったようにも見える表情でチラリと見た先生は、小さくため息を吐きだすと、視線を反らして呟いた。

視線を反らした大和田先生の横顔は、ほんのり赤らんでいたように見えた。

< 112 / 225 >

この作品をシェア

pagetop