泥酔ドクター拾いました。
「風邪の症状だな。それから、扁桃腺も腫れてる」

私の首元から指先を離して、穏やかに笑った先生の表情に私は視線を奪われてしまう。

きっとこの笑顔で、患者さんたちはみんな大和田先生が大好きになるんだろうな。

「藤代さん、大丈夫?」

よけいなことを考えながら、先生を見つめていた私を今度は心配そうな表情で覗き込む。

「は、はい。大丈夫です。私、疲れると扁桃腺腫れやすいんですよ。最近、連勤続いていたし、この連休をゆっくり過ごせばきっと大丈夫です」

「確かに、この1週間は病棟も入退院で患者の出入りも多かったり、緊急オペ入ったりでハードだったみたいだしな」

「病棟も確かにハードでしたけど、それは先生も同じでしょ?大和田先生は、忙しいはずなのに、患者さんにも私たちナースにだってそんな様子全く見せないですよね。」


私の言葉に、先生はなんだか照れくさそうな表情を浮かべて、視線を反らした。


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