泥酔ドクター拾いました。
先生の様子に私だってなんだか少し照れ臭い気持ちになってしまう。

「そ、それより、大和田先生って、内科も診れるんですね」

「あ、あぁ。研修医時代に内科と耳鼻科にも行った。」

照れくさくて、急いで違う話題を探した私の質問に、先生はやっぱりどこか照れくさそうな表情を浮かべている。

「まぁ、風邪症状とか扁桃腺の腫れ位なら藤代さんも触れたら、分かるだろう?」

「そ、そうですね。でも、どうして整形外科医になろうと思ったんですか?」


ベッドの淵に座った先生は、口元に手を置いてしばらく考えると、言葉を選ぶようにして口を開く。

「中学性の頃、俺サッカーしてたんだ。そんなに上手な選手でもなかったんだけど、最後の試合の直前に、骨折して。試合に出れないって、落ち込んだ俺に担当していた整形外科のドクターが言ったんだ。『自分が試合に出れる状態まで、治療する』って。」

少年のようにキラキラと瞳を輝かせて話し始めた先生の横顔は、私にはあまりにもまぶしすぎる。

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