泥酔ドクター拾いました。
「藤代さんは、素敵だよ」

ぽつりと漏らすようにこぼれ出た先生の言葉に私は息を飲みこんでしまった。

「あぁ、いや。なんかいい話だなって思って」
私の表情に驚いた様子で、また顔を真っ赤にしてしまった大和田先生の様子を見ながら、私も心臓の音がうるさいと言わんばかりに響いている。

「も、もう、寝ますね!!」

居ても立っても居られないほどに恥ずかしくなってしまった私は、大和田先生の座っているベッドの端に背を向けるようにして寝返りをうつと、かけていた薄手の掛け布団を表情が見えないように口元まですっぽりとかぶった。

「う、うん。そうだな。藤代さんが体調悪いのに話し込んでしまって、すまなかった。」

申し訳なさそうに私の背中に声をかけた先生に私は大きく首を横に振る。

「私は楽しかったですよ」

振り返るときっと顔が真っ赤になっているってバレてしまうから、私は背を向けたまま答える。
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