泥酔ドクター拾いました。
ため息しか出なかった。

「俺は、もうほのかへの気持ちはないから。じゃあ…」

『待って!!切らないで』

「何?」

『今、タクシーで崇也のマンションに向かってる。あと10分くらいで到着するから、一度ゆっくり話したい。じゃあ。』

一方的に電話を切ったのは、俺ではなくてほのかの方だった。

言葉を失った。どこか恐怖にも似た感情が俺の気持ちを支配する。

自宅でほのかと話をしたからって、今の俺の気持ちがほのかへと向かうわけないってことだけは確信が持てる。

どうにかして、その事実をほのかに理解してもらわなければ、この先も何かあるたびにこうやってほのかと押し問答を繰り返さなければならないのだ。

タイムリミットは10分しかない。

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