泥酔ドクター拾いました。
「先生に、キスしたら痛いくらいに分かりました。大和田先生がほのかさんのことどれだけ好きだったか。あの夜、先生が私にほのかさんと間違ってキスをしてきた時とは別人みたいに違うキスだったから」


「えっ?」

あの夜、間違える、キスした?俺が?藤代さんと?

頭の中が一瞬で混乱してしまう。

目の前では、藤代さんが口元に手を当てて、さっきまで涙を貯めて顔を真っ赤に染めていたというのに、一気に青白くなっていく。

言ってはいけないことを言ってしまったというように、後悔のため息を大きく吐きだす藤代さんに俺は恐る恐る尋ねる。

「あの、藤代さん。あの夜って…?」


彼女は視線を彷徨わせると、観念したかのように小さく呟く。

「……大和田先生が、酔っぱらって私の部屋と自分の部屋を間違えた夜。私の部屋に泊まったあの夜…」
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