泥酔ドクター拾いました。
ほのかさんに叩かれてしまった左側の頬よりも心の方が痛みを感じる。

あんな修羅場に立ち会わせたってことは、きっと先生にとって私はただの同じマンションの住人で、ただの同じ職場のナース。

それ以上でも、それ以下でもないのだろう。
思えば思うほど、心がひりつく。

だけど、先生はどうして私を抱きしめたのだろう。
どうしてキスを受け入れたのだろう。

先生の理解できない行動を思い返してみるけれど、答えなんて出なくて。
それでいて、勢い任せに告白まがいのことをしてしまったことやあの夜のキスのことまで、ベラベラと話してしまったことの後悔が押し寄せてくる。

大きくため息をつくと、朝には回復していたと思っていた体調が一気に悪化してしまったような気がしてくる。

私は沸々と湧いてくる考えを断ち切るかのように目を瞑った。
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