泥酔ドクター拾いました。
「もう奈緒、図星じゃん。それで、何があったの?」

さっきの叱咤した美樹とは違う、なだめる様な口調で先ほどと同じ質問を繰り返す。

私は言葉を探しながら、目の前の親友にゆっくりとあの夜のことを話し始めた。



「そっかぁ」

私の話を聞き終えると、食後のカプチーノを一口啜った美樹が息を吐くようにポツリと呟く。
美樹の啜ったカプチーノに施されていたハート模様のラテアート。そのハートがいびつに歪んでいるのが視界に入ってきて、なんだか今の私の気持ちと重なる気がしてくる。


「素直になればいいじゃない。大和田先生が好きなんでしょ?」

美樹の言葉に私は少し考える。

どんなに気持ちに蓋をしようとしても、やっぱり先生のことばかり考えている。
この一か月、もうこの気持ちを封印しようと思うのに、その気持ちはますます強くなるばかりだということは自分でもなんとなく分かっていた。

私は少し考えた後、小さく頷く。
< 156 / 225 >

この作品をシェア

pagetop