泥酔ドクター拾いました。
「ホスピスでも出来ることはたくさんあります。確かにリスクは高いかもしれないけれど、命の期限が決まっているからって、リハビリだって無駄なんかじゃありません!!!」


「……やっぱり」


斎藤さんに見つめられて、逃げられないって焦って言い繕うように勢い任せに出てしまった言葉。
その言葉に、斎藤さんはあまりにも悲しい憂いを含んだ視線で小さく笑う。

斎藤さんの反応に、ハッとした。

カマをかけられた……。
気付いた時にはもう遅いと、一瞬にして青くなる。

『癌の進行も早い状況にあり、予後も厳しい状況です。ご家族の意向としては本人には伝えてほしくないということです。』

数十分ほど前のカンファレンスでの看護主任の言葉が頭を遮る。


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