泥酔ドクター拾いました。
「……ありがとうございました。」

斎藤さんの病室を2人で後にして、大和田先生の1歩後ろをノロノロと歩きながら私は先生の背中に声をかける。

「……」

私の言葉に先生は何も返事を返してなんてくれなくて、深刻そうな顔をしてスタスタと病棟の廊下を歩いていく。


私は先生の後ろについていくしかなくて、それ以上何も言葉を発することもなく気分はどんどん落ち込んでいくのを感じながら、先生の後ろをついて歩いた。



ドンっ。

「いたっ!!」

急に大和田先生が立ち止まったせいで私は思い切り先生の背中におでこをぶつける。

「藤代さん、ちょっと……」

病棟の廊下の角を曲がったところにある、小さな面談室。先生の採血をしたいつかの面談室。

大和田先生は、そこに私を引っ張り込んだ。
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