泥酔ドクター拾いました。
「本当に、申し訳ありませんでした。」

大和田先生と対峙した私は、面談室に入るなり大きく頭を下げる。
泣くまいと思っていたけれど、涙がぽろぽろとこぼれてしまう。

悔しさと、後悔と、罪悪感と、自己嫌悪。
看護師失格だ、私。


頭の上から降ってきたのは、優しい言葉でも何でもなく、大和田先生の深刻で重たい溜息ひとつだけ。


「大和田先生が来てくれなかったら、私……」

頭を下げたまま、どうにか紡ぎだす言葉。

「問題が解決したわけじゃない。俺がしたことは、問題を先送りしただけ。」

あまりにも苦し気な大和田先生の声に私はゆっくりと頭をあげる。

きっと今の私は涙のせいで顔なんてぐちゃぐちゃだ。
大和田先生は顔をあげた私に一瞬視線投げかけたけれど、すぐに視線を反らしてしまう。

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