泥酔ドクター拾いました。
「どうして俺を呼ばなかった?こんな時位、頼っていいのに。これでも、斎藤さんの主治医なんだ。それに、俺は藤代さんのことだって……」


そこまで言って、大和田先生は言い淀む。それから小さく息を吐きだす。

「あの状況で迫られてごまかすことなんて難しかったと思う。俺だって、問題を先送りにしただけだ。痛みのことだって、十分に説明もしないままはぐらかした。それに、退院先のことだって勝手に変えてしまった。


「でも、そのおかげで。先生が家に帰れるように頑張ろうって言ってくれたおかげで、斎藤さんは……」

先生は胸が締め付けられるほどに悲しい顔して、頭を横に振る。


「俺がしたことは、問題を家族に丸投げしたようなものだ」

「…そんなっ。」

「だけど、一旦家に帰ることが出来れば、残された時間の過ごし方が何か変わってくるかもしれない。斎藤さんも、家族も」

私は先生の言葉に小さく頷く。

「どちらにしても、緊急カンファだな」

先生はポツリと呟いた。


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