泥酔ドクター拾いました。
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翌日は準夜勤務で、深夜過ぎに仕事を終えた私は何だか自宅に帰る気力すらなくなっていた。

暖かな缶コーヒーを片手に屋上のベンチに座って、星空を見上げたけれど星なんて1つも見えはしなくて、雲の切れ間から朧げに光る月が見え隠れしている。

1つだけ吐き出した息がやけに白い。


準夜勤務が始まるとすぐに、緊急カンファが行われた。
前日に机を囲んだメンバーとほとんど同じ顔が揃っていて、そこに笑顔なんてなくて、みんなが深刻な顔して並んでいた。


斎藤さんの一件は、すぐに各部署に共有されていて、大和田先生だけじゃなくて相談員や看護主任が今日一日奔走してくれていた。

私はというと何も出来なくて、カンファレンスの場にいることが申しわけなくて消えてしまいたいと思うほど居心地の悪さを感じていた。

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