泥酔ドクター拾いました。
看護師失格という言葉が、昨日から何度も頭の中をめぐっている。


看護師5年目。

ちょっと仕事に対する自信だってついてきていた。プライドだって少なからずある。それに、楽しいって思えることも増えた。


大和田先生と出会って、すっかり忘れてしまっていたけれど、私あと半年でこの病院を辞めようかどうかと悩んでいたんだった。


一瞬、大和田先生の笑顔が思い出されて、心がチクリと痛みを覚える。


「地元に帰ろうかな」

空に向かって小さく出た言葉。これが転機っていうことなのかもしれないと思えて私は徐々に青白くなってきた空を見ながら缶コーヒーを啜る。

暖かいはずのコーヒーが、やけに冷たく感じてしまったのだった。

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