泥酔ドクター拾いました。
「先生、少しお時間よろしいですか?」

斎藤さんの一件がなんとなく落ち着いた頃、午前中の回診を終えた俺の背中に看護主任が深刻そうな顔をして話しかける。

あまりに深刻そうな看護主任の表情を見て、なんだか胸のざわつきを覚える。

「どうかなさいました?」

「……実は、数日前に藤代さんから退職願が提出されました」


一瞬、話すかどうかを迷ったような顔をした看護主任が耳元で囁くようにこっそり教えてくれる。


「……えっ」

驚きで言葉が出ない。

「その顔だと、ご存じなかったんですね。」

看護主任の言葉に俺は小さく頷くことしか出来ない。

< 186 / 225 >

この作品をシェア

pagetop