泥酔ドクター拾いました。
「それで、退職願は受理したんですか?」

聞きたいことはたくさんあるのだけれど、出来れば本人から直接色々と聞きたいと逸る気持ちを抑える。
平静を装って尋ねると、看護主任が静かに首を横に振ったから俺はひとまず安堵のため息を1つ吐き出す。


「今後のことを、藤代さんに尋ねたら『一度地元に帰ろうと思う』ってそれだけ言ったんです。何かやりたいことがあるわけでもない様子で。だから、一応預かるけれど保留にさせて欲しいと伝えました」

ナイス、看護主任!!

「上司としては、何かやりたいことがあって退職願を提出するのであれば、もちろんその背中を押してあげたいと思っています。けれど、目的もなく辞めるとなると……。特に藤代さんはこれからきっと、もっといいナースになると確信しているんですよ、私。」

看護主任は少しだけ恥ずかしそうに微笑みかける。
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