泥酔ドクター拾いました。
「でも、こんな高級そうなところ……」

「この間のお礼、してなかったから」


私の言葉を遮って、大和田先生は楽しそうに肩を揺らす。

「藤代さんと高級フランス料理ごちそうする約束だっただろう?しかも、コースで」

意地悪な顔して私を見つめた大和田先生の表情で、ほのかさんと対峙した夜の約束を思い出す。

「あれは、冗談のつもりで……」

「藤代さんは冗談だったかもしれないけれど、俺は本気だから。あれだけ迷惑かけたんだから、お礼位させてくれ」

それだけを私に言うと、大和田先生は慣れた仕草でウエイターを呼びつける。

「食べられないもの、ない?」
優しく尋ねてくれた大和田先生は私が小さく頷くのを確認すると安心したように微笑んでスムーズに注文を済ませる。
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