泥酔ドクター拾いました。
前菜のミモレットチーズがのったアスパラガスのソテーも、メインのブラックペッパーソースのかかった子羊のローストもすごくおいしくて、大和田先生の選んでくれた赤ワインとよく合った。

「おいしい」

ほろりと口からこぼれた言葉に、大和田先生はメガネの奥の瞳を細めて微笑む。
暖かな照明と、軽く酔ったせいなのだろうか、向かいに座る大和田先生の笑顔に私の心臓は大きく高鳴る。


「明日、きっと病棟でいろいろ聞かれるだろうな」

私が先生の笑顔に釘付けになっていると、大和田先生はそう言いながら肩を竦める。

私を屋上から連れ出した時の大和田先生の姿を思い出し、心臓がうるさい位に動き出す。


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