泥酔ドクター拾いました。
どん底の時期に独身寮の美樹の部屋を間借りしていたこともあって、寮に住む他の同僚たちも私の降り注いだ災難を知ることになった。


そのおかげか、美樹のようにして時折また寮に戻っておいでと声をかけてもらえることも多い。

「元カレのことだけじゃなくてね。美樹、独身寮の出戻りジンクスって聞いたことある？」

私が声を潜めるようにして目の前の美樹に尋ねたら、美樹は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになってしまう。

「あんなジンクス、信じていたの？」


美樹の反応を見たら、どうやら美樹だってジンクスを知っていたようだ。

「一応、ね。だって寮に出戻りしたスタッフは、結婚できないばかりか、一生を新都総合病院に捧げることになるって、恐怖でしかないんだもん」


大失恋したばかりだけれど、そりゃ私も結婚だってしたい。


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