泥酔ドクター拾いました。
「あっ、結婚できないってところを気にしていたのね。私はてっきり病院に一生を捧げるのが嫌っていうか」


美樹は私の答えに少し笑って見せたけれど、すぐさま口ごもった。

「まぁ、一生っていうのは難しいわよね。私だって結婚や出産だってできればしたいもん」

「いや、そういうわけじゃなくってさ。奈緒も私もこの1年で丸5年でしょ?病院奨学金の勤務期間だって終わりなわけだし。寮にも戻らないってことは辞める気持ちでいるのかなってちょっと思っていたの。」

私の返答に、美樹は言いづらそうに喋り始める。

私と美樹は、新都総合病院からの奨学金制度で大学を卒業した。返済は不要なのだけど、一定期間、奨学金を受けた病院で働かないといけない決まりになっている。

ちなみに新都総合病院の勤務期間は5年。


5年目の私たちにとっては、このまま継続して勤務するのか、退職するのか自由に選べる。


5年の間、いつも一緒にいる美樹には、どうやら私の考えていることなんてお見通しみたいだ。

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