泥酔ドクター拾いました。
「まだ、わかんない。でも、全てを新しく始めたいって気持ちは今でも思っている」

今のマンションの部屋に引越しした日に、再出発だと自分に言い聞かせた。
出来れば、元カレとの思い出の多すぎるこの街には留まっていたくない気持ちも強い。


勤務期間が過ぎたら、地元に帰ろうかな…。

この数か月、そんな気持ちでいることに美樹はきっと気が付いていたのだろう。


ふと、目の前の美樹の表情が明らかに落ち込んでいることに気が付いて、私は無理矢理口角を挙げて笑って見せる。

「まぁ、まだ夏が始まったばかりだよ。結論を出すのなんて、まだ半年以上も先の話だよ」


「そうだね」

美樹は私の笑顔に、一言返すと目の前のアイスコーヒーを一気に飲み干した。


< 43 / 225 >

この作品をシェア

pagetop