泥酔ドクター拾いました。
今にも震えそうになる声を必死で堪える為、両手をぐっと握りしめていると、体中に変な汗まで噴き出してくる。


「いやぁ、ここ俺の部屋なんだけどさぁ…」

私の恐怖なんて、全く気が付いていない様子の不審な男は心から困った様子で、私の方へ振り向いた。


振り向いた瞬間、廊下の電灯によってはっきりと見えた不審な男の顔に、私は見覚えがあった。

多分、180㎝超えていると思われる長身にスリムにすらりと伸びた手足と、程よく引き締まった身体。

ダークブラウン色に染まった髪は、綺麗にセットされていて清潔感に溢れている。

スーツだって仕立ての良さそうな紺色のスーツで、彼にとてもよく似合っている。

それに先ほどからチラリと見えている腕時計だって、彼の履いている靴だって、ブランドものには疎い私ですら分かるほどの有名な高級ブランドのものを身に着けている。


それに、職業はモデルなのではないかと思えるほどの甘いマスクで、かなりのイケメン。

シルバーの細いフレームの眼鏡の奥にはブラウンの瞳があって、その瞳に吸い込まれそうな錯覚にさえ陥りそうになる。

まぁ、こんな高級品を身に着けている彼が、たいした高級品も持っていない私の部屋なんかに空き巣に入るわけは、高い確率でないと思う。


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