泥酔ドクター拾いました。
まぁ、大和田先生の泥酔姿を見た私にはどうでもいいことだし。
それに、誰だって大和田先生のあんな姿見たら100年の恋だって冷めちゃうんだろうけどね。

「モテる男は大変なんですね。はいっ、おしまい」

あっという間に採血も終わり、私は止血用のテープを大和田先生に貼ると、その部分を小さく叩いた。

「痛っ」

大和田先生は楽しそうに大げさにリアクションをとりながら、目を細める。


「じゃあ、これ。外来に提出しておいてくださいね」

「あぁ、ありがとう」
採血用スピッツを大和田先生に手渡す。大和田先生は小さくお礼を言うと私を真っすぐ見つめた。

手渡した時、一瞬だけ触れた先生の指先が冷たかったというのに、触れた私の手は妙に熱を帯びた気がする。

だって、大和田先生とかち合った視線を私は未だに反らせずにいるのだから。

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