泥酔ドクター拾いました。
いくら真夏だからといっても、こんなに濡れてしまったら体温は奪われていく感覚に陥る。

ほんと、早く帰りたい。
こんな時、病院の寮に住んでいればどんなに良かったんだろう。

病院から少し離れた場所に部屋を借りたことを少しばかり後悔しながら、私はもう何回ついたか分からない大きなため息を、もう一つだけ一気に雨の分厚い雲のせいで真っ暗になってしまった空に向かって吐き出した。

ブワーン

ため息を打ち消すようにして、低く伸びた音のクラクションが私に向かって鳴り響く。

振り返ってみると道路に幅寄せされた車が一台。
けれど、余りの豪雨と私を照らすようにして向けられた眩いテールライトの光のせいで、その車がよく分からない。

だけど、重低音のするマフラーの音だけは聞き慣れていた。

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