キミの螺旋
説教されると思った。

お金もらって、やられてたんじゃ『ウリ』にしか見えないもんね…

だけど彼女は怒ったりはしなかった。


「だから何?もらっちゃえばこっちのモンよ。逃げちゃえばいいのよ」

「え―…ヤバくない?」

「ヤバいのはアイツらの方でしょ。大丈夫よ」

詐欺っぽいな~…何て少し真面目に考えたりしてた。

彼女はあたしの顔を見ていた。

「あーぁ…汚れちゃってるね。仕方ないなぁ…学生なんか連れてったらヤバいかな…裏から入ればいいか…」

彼女は自問自答するように小さな声でブツブツと独り言を言っていた。

「よし!ちょっと来なさい」

「どこへ?」

「ウチの店よ。シャワーあるから借りましょ」

「で…でも…」

「早く早く」

またもや強引に彼女に手を引かれ、あたしは何処かへ連れて行かれた。

あたしの手を引く彼女の手…長くて細い指をしていた。

よく見るとネイルも可愛いく施されている。

身長が少し高く、細身でスラッとしている。歩く度に長くウェーブがかかった髪が揺れた。

落ち着いて彼女を見ると…スゴくキレイな人だった。

それがメタボをやっつけちゃったワケ?

こんなに…か細く弱そうなのに?
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