キミの螺旋
しばらくの沈黙…


思いきって…ホントに聞きたいって思った事を聞いたのに
あたしはハルトの顔を見れずに下を向いてしまった。


…こんな疑ってるような事を言って…ハルトは怒るんじゃないかって…思うから。




  「パチン」





ハルトは両手であたしの頬を叩いた。
音のわりには…痛さは感じないくらい軽くだったけど…


…叩かれた。


ハルトはそのままあたしの顔を自分の方に引き寄せ

あたしの目をまっすぐに見て答えた。



「…ふざけんな!」


「…ハ…ルト…」

やっぱ…怒ってる…


「そんな風に思われるのがイヤだから黙ってたんだよ!言っておくけど…俺は今まで一度もお客とは寝た事ないし!」

「…」

「だけど…お前は俺がホストだって聞いた途端にソレを疑うのか…それだけで…俺を見る目が変わったって事なのか…?」


  ズ キ ン


って胸が痛くなった。

ハルトの目が涙でにじむ…

あたし…!
自分の気持ちばっかでハルトを傷つけてたんだ

いつの間にか彼を疑ってて…信じる気なんか無くなっていったのかもしれない…


あたしは


彼に言ってしまった言葉を後悔した。
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