キミの螺旋
「はい!そこまで」


あたしをお金で抱こうとしていたアホ男の肩を掴んだ人が、そう言った。

どうやら…止めようとしてくれたらしい。

…邪魔しないでよ!
大きなお世話なのよ!

あたしは内心そう思った。

その人は…暗くて顔は見えなかった。

どっちにしても…知ってる人なハズもないから見る必要もなかった。

「何だ、お前!?」

アホ男が必死に抵抗した。
そりゃそうよね。
お金払ってるんだもん。

「その子オレの妹なんだよね!何?お前こそ警察とか突き出されたいの?」

…あーあ…ありがちなネタだよ。

「く…っ…オレはまだ何にもしてねーよ!!」

あれれ?信じちゃうの?…ヘタレだなぁ。

仕方ないけどね。

そしてアホ男は逃げて行った。

はぁ…なんだよ!

あたしはヤケクソになって、ワザワザ助けてくれた人に上辺だけのお礼を言った。


「助けてもらってありがとうございました!」


そして顔を上げたあたしに、大きな手が飛んできた。



  「パシッ」




「な…何すんのよ!!」

殴られたあたしは怒鳴った。

「お前こそ何やってんだ!?」


その声に…
ハッとして顔を見た。



「…藤紀…?!」
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