キミの螺旋
それからのあたしは
空っぽで

信じるべきものが見つからない。
何もかもを疑って…自分がどんどん荒んでいくのがわかるけど

もう自分のチカラじゃどうにもできない気がした。


「凛?元気なさそう…何かあった?」

サラが聞いてきた。
あたしはすぐに笑って答える。

「何にもないよ?疲れてんじゃないかな」

「そう…風邪でもひいちゃったかな?」

「そうかも」


ココロが風邪ひいたのなら…いつか治る気がするのに。

多分、重症。
高熱にうかされてる。

恋の高熱なら良かったのに…まるで怪我して傷口が膿んで熱出してるみたいだ。


「凛?元気?」

また、そう聞かれて振り返ると、そこには藤紀がいた。

あれから毎日…多分、藤紀はあたしの様子を見に店へとやって来ている。

「…まあまあ…かな」

「サラ!お客さんよ!」

「はぁーい」

ママの呼ぶ声にサラは答え、店へと戻って行った。

他に誰もいない─…

「藤紀…お願い。サラには黙ってて」

「言ったりしないよ。だけど…いいのか?」

「うん、心配させたくないから」

それに
サラだけは信じたい。

その日もようやく仕事を終えて店から出ると目の前に…井上がいた。
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