キミの螺旋
相変わらず井上は今どきの高校生っぽい格好であたしの前に現れた。

こんな繁華街には違和感がある。

冷静にそう思う余裕もなく…井上を見ただけで、あたしの怒りは頂点に達する！


先に声をかけてきたのは井上だった。

「お疲れ！」

「井上…何しにきたの？」

あたしはあからさまに睨みつけていた。

「話しをしに来たに決まってるじゃん！」

「話し？あたしはアンタと話しなんかする気ないから、帰ってよ」

「怒ってんの？一緒にえっちすりゃ良かったじゃん」

「アンタね…！」

あたしの神経をワザと逆撫でするような事ばかりを並べたてる。

ホントにムカつく女！

「アハハハハ！藤堂って…単純だよね！」

…悪かったね！

あたしは井上を無視して帰ろうとした。

「ハルトとえっちでも乱コウでも何でもしてれば!?あたしにはもう関係ないし」

「そうしたいんだけど…ハルトと別れてくれない？」

「何、言ってんの？もうダメになってるのに」

井上は少し黙って…答えた。さっきまでの勢いはない…

「ハルトは…藤堂と別れる気はないんだって。あの夜はたまたまホストクラブに行ったらハルトに会って…私、彼の身体を金で買ったんだよ」
< 134 / 398 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop