キミの螺旋
うわ…なんでアイツがいるの?

井上に気付いたけど、あたしは知らんぷりして帰ろうとした。

すると井上は慌ててあたしの方に走ってきて腕を掴んだ。

「ちょっ…ちょっと!藤堂ってば!ワザとらしく無視しないでよ!」

あたしはまだ井上にはムカついてて
掴まれた腕を払い、不機嫌そうに言った。

「何の用?」

「やぁねぇ~藤堂が終わるの結構待ってたのに。そんな不機嫌そうにしないでよ」

お前はあたしの彼氏かよ?!
とか思った。

「だから何の用なわけ?」

あたしが怒ってんのに井上は鼻で笑いながら答えた。

「藤堂のパパが会いに行ったでしょ?」

「…!」

…やっぱり!
井上の仕業だったんだ!

「なんで教えたの?迷惑なんだけど!」

「え~?だって住所調べたらお金くれるって言うからさ」

「ウチの親がそう言ったの?」

「そう。心配してたんじゃない?」

…心配なんかするもんか。
ヤリたいだけだったんだから。

それにしても…アイツお金使ってまであたしを探したの?

ホントにイヤだ。

「それで?用事ないなら帰るから」

「ドコへ帰るの?」

「え?」

「また居場所がわかんないから捜してって連絡がきたからさ」
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