キミの螺旋
あたしは一瞬で何もかもを失った。



生きる糧も
望みも夢も


この男さえいなければあたしの人生はまだマシなものだった気がする。

何の為に今まで耐えてきたのかわからない


それなのに…さらにあたしを追い詰める

あたしを妊娠させる!?

今ほど死にたいと思った事はない



そして──


今ほど


この男を殺したいと思った事はない…


この男さえ居なければ

この男さえ存在しなければ──


殺さなきゃあたしは逃げられない

どこまで逃げても追ってくる…!


歪んだ愛情をあたしにぶつける

この男を─殺さなきゃ



あたしは必死で抵抗していた。

入れられたら…すぐに中に出してくるだろう

この男は本気でやるから!


「凛!何でイヤがるんだ?!」

「離して!嫌っ!!」

暴れながら、あたしは自分の周りにある『何か』を探した。

そして、その『何か』が手に触れる…!


何でもいい!
この男が一瞬
チカラを緩めてくれれば

あたしは台所にナイフを取りに行ける!





  殺す…!






あたしは手にした
『目覚まし時計』を




力いっぱい
父親の頭めがけて
振りおろした…!
< 169 / 398 >

この作品をシェア

pagetop