キミの螺旋
あたしの着ている服は乱れ
ベッドの上で
オジサンに押し倒されて悲鳴をあげていた…

藤紀の目には
こんな風に映っただろう。
それだけでも十分だった。

「凛から離れろ!」

「何だお前は!?俺の娘と何をしようと関係ないだろ!?」

「娘…!?オッサン…正気か?」

「藤紀…」

彼に見られたくなかった…こんな所…

見ないで

見ないで!

父親は平然と答えた。自信ありげに…あたしが何も言わないと思って。

「俺達に血の繋がりなんてないんだ。それに同意の上で、これからSEXしようとしてるんだ!わかったなら出てけ!不法侵入で警察を呼ぶぞ!」

父親の言葉を黙って聞いていた藤紀は
あたしの目をまっすぐ見て聞いた。

「凛。助けてほしいなら…言いなよ」

「…」

こんな事
誰にも知られたくない

こんなに醜い─汚れてるあたしを
見られたくなかったの

だけど…もう…



「…助け……て…」


あたしは声にならないほどの小さな声で…助けを求めた。

「オッサン、離れろ」


そう言って父親に近づき、彼は父親の腕を掴んだ。

「何だ?!離せ!離…っ」


  「バキッ」


その音と共に…藤紀は父親の腕を折った。
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