キミの螺旋
ホントに自分でもそう思う。

そんな事にならなくて済んで良かったって

藤紀が来てくれたから
藤紀が助けてくれたから

あたしは『あたし』でいられたの。


「ありがと…ゴメンね」

あたしは何度も言った

「もういいよ」
って彼も何度も言った

すぐにサラの待つ部屋に着く。
藤紀はあたしを降ろし、部屋の鍵を開ける。

何だか淋しい気がした

藤紀の体温が離れて
薄れていく…

なんでそんな風に思ったりするんだろう?

…彼はサラのものなのに…ね。


静かに部屋に入る。

「サラ寝てるかな?」

「多分ね…あれっ?」

サラの部屋を覗いた藤紀が言った。

「居ないんだけど…」

「え?トイレとか…違う?」

トイレにサラがいるか確認する為にノックをしようとした時
微かに水の音がした。

「シャワーの音?藤紀!サラお風呂じゃない?」

「あ、良かった」

「あたし声かけてくるね?」

そう言って洗面所のドアを開けた。

「!?」

洗面所も…その先の風呂場も電気がついてなかった。

でも…お湯が出しっぱなし?


灯りをつけたあたしは







風呂場で手首を切って─血の海の中で倒れていたサラを見つけた…
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