キミの螺旋
あたしは
目の前の光景が信じられなくて

声すら出す事が出来なかった。

一面に広がる紅い液体


サラの身体から流れ出した血で赤く染まっていた

その中に横たわる
青白い顔をしたサラ…

手にはカミソリと
手首のキズ口から流れる血

そして少しずつ
これがどういう事なのか頭に入ってくる

ホンの一秒くらいの間だったんだろう…

それがとてつもなく長い時間に感じられた。


「…ぁ…ぁ…ゃ…っ…あぁぁぁぁぁっ!!!!!!サラ…サラぁ…っ!!!…と…藤紀!藤紀!!」

「凛!?」

あたしの叫び声に驚いた藤紀が風呂場に来た。

「サラ?!」

「サラが…サラが!!!!どうしよう藤紀!どうしよう!どうしたらいいの!?」

「どいて!」

完全に気が動転して、今何をしなくっちゃいけないのかわからないでいたあたしを押し退け

藤紀は素早くサラを抱き上げ、彼女の様子を見た。

それから119番に電話をして救急車を呼び
戻ってきてサラの出血している部位にタオルを巻いていた。


「サラ…サラ!どうして?!イヤだ!サラが死んじゃう…!」


落ち着いて、やるべき事を的確に処理していく藤紀とは対照的に

あたしは半狂乱だった
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