キミの螺旋
「平田先生?…って誰?」

「知り合い…かな」



気付けば二ヶ月くらい行ってなかった。

平田先生はあたしの主治医。

あたしが記憶を失った頃から、定期的にカウンセリングをしてくれて…あたしを支えてくれた頼りになる先生だった。

あぁ~でもなぁ…

家出してる事がバレてるんだろうな。

そう思うと少し気が重かった。先生はお兄ちゃんみたいなものだったから…


それでも顔を出さなきゃね。

翌日、あたしは平田先生の病院へと向かった。
平田先生はまだ若くて確か今年で35歳。
でも全然そんな歳には見えないし…いつも優しいセンセイだった。

平田先生に会うなり案の定、開口一番に予想通りの事を言われた。

「凛ちゃん!家出したって聞いたんだけど?!」

「…ごめんなさい」

「こうしてカウンセリング受けに来たから…大丈夫だとは思ったけど。ご両親が心配してたよ!」

「一応…お母さんには連絡入れたりしてるんだけどね…」

「居場所は言わないって泣いてたよ」


やっぱり、平田先生のトコにも連絡来たんだ…。

当たり前か…な。
お母さんには悪い事してるのはわかってるんだけど。


帰れない理由がちゃんと存在するから。
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