キミの螺旋
少しずつサラは回復していった。

まだ若いし…時間が経てば身体のキズは癒える。心はまだまだ…置き去りにしたままだと思う。

それでも無理に聞き出す事はやめようって思った。それよりも…あたしの事を話そう。

そう決めていた。

サラが退院して、ちょっと落ち着いたら

そう決めていた。


昼間はサラに会いに行き、夜はちゃんとバイトして働いた。

サラが休んでる分
ママも大変だし、あたしが頑張らないとね!

そう思って一生懸命働いていたあたしに
ママが言った。

「凛ちゃん、元気ないわね?」

「え?そ、そっかな?きっと…寝不足だからだよ」

なんだか夜が眠れないの。
だからちょっと…疲れてるのかな?って思ったりしてた。

だけどママは意地悪そうに笑う。

「それだけじゃないでしょ?」

「他に何かあるかな」

「藤紀くんが店に来ないから…違う?」

「ち、違うよ!なんで藤紀が出てくるの?!あービックリした!」


『藤紀』ってコトバに何故か動揺した。
何か…イヤだな…

「藤紀くんの事、好きなんでしょ?」

「違うよ…藤紀はサラのものだもん」

自分で言って…少し胸が痛かった。

ずっと藤紀はサラのそばにいた…
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