キミの螺旋
そして父親はポケットから財布を取り出した。

中から一枚のカードをオレに手渡した。

「なんだ?これ」

「生活費だ。必要なだけ使いなさい。限度額は超えないようにな」

「…ってゴールドじゃん!こんな金なんて使えないよ」

それに限度額いっぱいなんて使えねーよ!

「勉強はいくらしてもいい。大学院に行きたいなら行くといい。医者でも弁護士でも官僚でも好きにしろ。その為の金なら出してやる」

「この金で…オレが海外に高飛びしたら?」

「この地球上ならどこにいてもわかるんだろ?それとも死んであの世に高飛びするか?」

「まさか」

「だろ?それに…お前は頭がいい。そんなバカな事はしないと思うが」

「ずいぶん…信用してくれるんだな?なんでオレにそうまでして…」

「…親ばかの罪滅ぼしさ。藤紀には…悪い事したから」

「だからオレを藤紀にして詫びるって?頭悪いな!」

オレの暴言に動揺も怒りもせずに…父親は答えた。

「…そうだな。いくらでも利用してくれていい。最後には私の跡を継いでくれるなら…」

少しだけ

寂しそうな'父親'の姿を見せた。

オレの性格上…こいつを利用してやるなんて出来ない事はわかっていた。
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