キミの螺旋
こんな高級ベッドでなんか寝たコトない…

とりあえず座ってみたりした。

…めちゃめちゃ居心地悪ぃや…

そう思って、夜になってもベッドには横になれず

毛布にくるまりソファで眠った。

─と言っても眠れるハズもなく

一晩中、横になっていただけだった。


─これはオレのじゃない

─こんな自由はオレの為にじゃない

─全部'藤紀'のもの

アイツが手に入れるべきものだ

いくらオレの中に'藤紀'の記憶が流れ込んできたって

オレは'藤紀'じゃない

'藤紀'…なんで…死んだりしたんだよ?

生きていれば良かったのに

お前が死んで悲しまない人はいないんだぞ?

お前を取り戻したくて…あの親父はこんな『プロジェクト』に金を払ったんだ。

親父がどんな思いだったか…考えると苦しいと思わないか?

─生きていれば良かったんだ

こんなに世界は広くて美しいのに
何故、空を見上げなかった?

これはオレが手にすべき自由じゃない。

こんなオレが広い空を見ていいはずがない。

暖かいベッドで眠って自由に呼吸していいハズがない…

今夜から監視もカメラもない自由な生活


オレはソファでうずくまり
涙が止まらなかった…
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