キミの螺旋
翌日、オレは母親の病院を訪れた。

電車を乗り継いでやってきた病院は少し郊外の静かな場所に建っていた。

入り口で母親の病室の場所を聞く。

母親は精神を患い─何年も入院生活を送っていた。

こういった精神に関する病棟だからだろうか?何か少し不思議な感じがした。

上手く説明できないけど…

「北川さんの息子さん!?あら…こちらには全然みえてませんでしたよね?」

看護師の一人が声をかけてきた。

「えぇっと…僕も病気していたもので…」

オレは紙上の出来事を言った。

「まぁ!そうでしたか…お母さん寂しがってましたよ?今、庭に…ほら、あそこよ」

指差した方向に…母親がいた。

写真でしか見た事のない…初めて会う『母親』は

暖かい陽射しの下
庭で幸せそうに散歩をしていた。

「ありがとうございます」

看護師に挨拶をして、オレは母親の元へと向かった。

「か…'母さん'…」

少し緊張しながら母親を呼んだ。


母親は振り返り─オレを見て微笑み

「藤紀…やっと来てくれたのね…」

そう言った。

そこまで…ココロが壊れているのか?


息子の顔すらわからなくなってしまった母親が気の毒に思えた。
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