キミの螺旋
助けを呼ぶ事もできず

あたしは微かに聞こえてくるハルトと『誰か』の会話を聞いてるしかなかった。

それでも来客者が何者かわかれば…後で何か助かる方法が見つかるかもしれない

今できるのはそれくらいだった。

眠らないように外の会話に集中した。


だけど
その考えが悪かった…

『何よ、大声だして隣近所に聞こえるなら、アノ声も聞かれちゃうよねー?あ…ねぇ!藤堂とは別れたの?』

…!
井上だ…

よく聞くと彼女の声らしかった。
それに…あたしとハルトが付き合っていた事を知るのも井上だけ。

その時、初めて事態は最悪な事になっていたんだと気付いた。

むしろ…眠っていれば良かった。

知らないでいられたらこんな気持ちにはならなかったのに…

『あ、俺、凛とは別れねーから。不服?ヤなら帰れば?』

『ヒドーイ!!』

『お前、何しにきたワケ?俺とやりたいんじゃねぇの?』

『もちろんそのつもり!今日はたくさんしてね!だからいつもより多いから』

『幾ら?…ふーん30万か…毎度アリ!』

『…あ…ん…』

予想していた事が始まった。

お金だけの行為

愛のない二人のSEXが

あたしのすぐそばで
行われていた…
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