キミの螺旋
─次に目を開けた時…


天国なんだと思った。


真っ白な天井…
光が溢れてる世界…


あの時に似てるなって思った…

あの記憶を無くして初めて目を開けた10歳の時みたい…そう思った。


それと同時に身体の重苦しさを感じた。


…痛い…?


そう思って…自分が呼吸してる事に気づく…

「…凛…!」

サラの声が聞こえて、あたしは何度か瞬きをして、声のする方に目をやった。

「凛!目が覚めたの!?私よ!サラ…わかる?」

「サ…ラ…?」


また幻聴だと思ったのに、現実にサラがいる

どうして…


あたし…どうなったの…?
この身体のダルさ・重さは何なの…?

「…ここ…どこ?」

「病院よ。私がハルトの家で倒れてるのを見つけて救急車呼んで…」

─そうだ…あたし達…

「ハルト…は?」

サラは言いにくそうに答えた。

「生きてるわ…他の病院で治療を受けてるって聞いてる…」

「…そう…」

ハルトが生きてたと聞いて、あたしは嬉しいとは思わなかった。

悲しいとも悔しいとも違う…

自分が生きていた事も

どんな風に感じていいのかわからない

ただ…

あたし達は死ぬのに失敗したんだって…思った。
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