キミの螺旋
藤紀は耳元で
今度はちゃんとあたしが聞こえるように何度も繰り返し言った。

「ずっと前から凛を知っていた気さえする…これからはちゃんと凛を守るから。凛のそばにいるから」

「藤紀…とーきぃ…」

あたしは藤紀にしがみついて泣いた。

これで何度目かな…
いつもそう。
藤紀の前だと…安心して泣けるみたい。

「藤紀が好き…スゴく好き…ずっと一緒にいて…!もう一人はイヤなの…一人が怖い…もうこんなのイヤだよぉ…っ」

目覚めて…隣に誰か居ても感じてた孤独感

そんなのはもう…ウンザリだよ

だけど孤独が嫌だからって藤紀を好きになったワケじゃないの

わかって…ほしいな…

「凛…ゴメンな、あんな目に合わせて。もう離さないから…ずっと好きでいるから」

何度も藤紀は言った。

   「好き」

  「好きだよ」



他に言葉を知らない外国人みたいに
彼は『好き』としか言わなかった。

それが嬉しくて安心した。
あたしも『好き』って言えば言うほど…

あたしの中で何かが満たされてゆく。


そしてキスをした…
今度はちゃんとわかる

『リアルなキス』

何度も何度も唇を求めた


 初めてのキスは
 魂に刻まれた…
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