キミの螺旋
「お…お義父さんはどうしてる?」

あれからあたしの前には現れない。
藤紀もいたし、安心はしていたんだけれど、気になっていた。

お義母さんには…何て言ったんだろう?

「そうよ!お父さんねぇ怪我したのよ!」

「け…怪我?」

ちょっとわざとらしく聞いた。

「腕の骨を折ってね、転んだって言ってたけど…他には何にも言わないのよ」

そりゃそうでしょ
娘を犯そうとして助けにきた人に折られたなんて言えないもん。

「ふーん…じゃきっと恥ずかしかったんだよ」

あたしは適当に答えた。

「お父さんから連絡させようか?」

「う、ううん!いい、また連絡するから…」

そう言って慌てて電話を切った。

冗談じゃない!
もう二度と会いたくないんだから!
お義母さんには悪いと思うけど…ムリなんだもん。

そして、あたしは記憶が戻ってる事は言わなかった。

まだ誰にも言わない…自分で事件の事とか調べたいし。
もう少し安定してからサラや藤紀にも話そうって思った。

とりあえず問題が一つ片付いて安心して病室に戻ると

見知らぬ男性が二人立っていた。

「藤堂…凛さんかな?警察の者です。聞いてると思いますが…この間の件の事で」
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